時は令和八年、霜月のはじめ。
更新の止まった古城「WebLifeLab」は、石垣こそ崩れていないものの、堀の水は澱み、門の鍵は何年も替わっていなかった。
城主はタケノタケオ。二児の父にして、たったひとりの総大将である。
この総大将が、AIの軍勢にひとつ頼みごとをする。この城を、どうにかできないか、と。
※ 時代劇風の語りは、実際の作業記録を読みやすくするための演出です。数字・日付・結果は作業記録に基づき、推定は「推定」と書きます。
放置していたサイトに、AIを入れてみた
2019年、開業する前からホームページを作って、検索からお客さんが来るようにSEOをやっていました。開業して1〜2年は更新を頑張ったものの、本業が忙しくなるにつれて記事を書く手が止まり、サイトはそのまま。それが今回の舞台、weblifelab.comです。
転機は2026年でした。ChatGPTやClaudeを本格的に使い始めたら、プログラミングの作業はほとんどAIに任せられるようになったんです。自分がやるのは、方針を決めることと、最後の判断。チャットや音声でAIと話しながら、記事の作成もサイトの修正も進めています。WordPressのテーマ(見た目の土台)やプラグイン(追加機能)まで、AIと一緒に作れるようになりました。
自作テーマ「WATABOKORI」もそのひとつです。別サイトのGadgetではすでに動いていて、次はこれを、いちばん古いWebLifeLabに入れる番になりました。
その前に、一度やらかしています。9月下旬、PHP(WordPressを動かしているプログラミング言語)を新しい版に上げたら、表示が崩れてしまい、あわてて古い版へ戻しました。本番のエラーログには、PHPが止まる「Fatalエラー」が、9月25日と26日の2日間で524件。この連載は、その続きの実録です。
AI側の顔ぶれは、こんな役割分担になっています。
- チャッピー(ChatGPT):企画担当。方針や画像の仕様を考える
- くーちゃん(Claude):技術担当。調査、改修、検証
- Codex、Cowork:長めの機械作業や下調べ

まずは調べる。本番には触らない
最初にくーちゃんへ出した依頼は、次の7つの問いに答えてほしい、というものでした(趣旨)。
- WebLifeLabはWATABOKORIへ安全に移行できるか
- WordPressとPHPは、どの順番で更新するのが最も安全か
- PHPを上げるために、他のサイトで何を直す必要があるか
- 既存記事・SEO・広告・AMP(スマホ向けの簡易ページ)をどこまで守れるか
- 同じサーバーの他サイトに影響はあるか
- 本番に移す前提条件と、中止する条件は何か
- 失敗したとき、確実に元へ戻せる条件は何か
条件は3つだけ。本番サーバーに書き込まない。既存の成果物を変更しない。分からないことは「未確認」と書く。

測ってみたら、こうでした
ブラウザで公開側を調べ、管理画面の「サイトヘルス」で数字を読み取った結果です。
| 項目 | 実測値 |
|---|---|
| WordPress / PHP / DB | 5.7.2 / 7.4.33 / MySQL 5.7.27 |
| テーマ | 2021年2月版の旧テーマ+子テーマ |
| プラグイン | 有効30・停止4 |
| 公開されているページ | 投稿103・固定ページ3(合計106URL) |
| 容量 | 合計1.36GB(画像など1.00GB、データベース22MB) |
| 記事の年 | 2019年85本、2020年21本(更新日も2020年まで) |
| 検索からのクリック | 16か月で204クリック。そのうち93%が上位3本の記事 |
| アクセス解析 | 旧型のUniversal Analyticsのタグのみ。後継のGA4のタグはなし |

WordPressの最新は7.1.4なので、5.7.2はだいぶ置いていかれています。PHP 7.4.33も、公式サポートが終わっている版です(php.netの「サポート中の版」の一覧に7.4が載っていないことを、11月3日に確認しました)。ただ、古い版だからすぐ被害に遭う、という話ではありません。公式の修正が来ない版を使い続けるリスクが、時間とともに積み上がっていく、ということです。
気になったのはアクセス解析です。旧型のUAのタグしか入っておらず、Googleは旧型UAの処理を2023〜2024年に止めています。計測が止まっている可能性が高い、というのがくーちゃんの見立てでした(GA4のプロパティがそもそもあるのかは、この時点では未確認)。
もうひとつ見逃せないのが、同じサーバーに住んでいる仲間たちです。本体のほかに、サブドメインのgadget、otoku、chucos、uber、investor、stgが同居しています。PHPの版はドメイン単位で切り替わるので、本体だけ上げたつもりでも、配下のサイトが一緒に新しい版で動く可能性があります。この「巻き込み」が、あとの話の主役になります。
最初のつまずきは、AIの側にあった
出だしからいきなり、AI側の失敗がありました。事前に行われているはずの調査報告書「Cowork 2026-11-01 調査報告」が、作業フォルダにもGoogleドライブにも見つからなかったんです。引き継ぎがうまく届いていませんでした。
くーちゃんは、指示書に書いてあった暫定値を「参考値」にとどめ、すべて実測でやり直しました。結果として、暫定値と実測は、本体についてはおおむね一致していました。AIに調べさせるなら、AIが何を根拠に答えているかを自分で追えるようにしておく。これは今回、最初に拾った教訓です。
調査では、AIの失敗とは別に、次の問題も見つかっています。
- 本番に、移行前から出ているサーバーエラー(500)が2件(
/siteplugin、/sslhtaccess) - アクセス解析が止まっている可能性が高いこと
- サブドメインのひとつ、investorの設置場所が、資料から確認できないこと
まだ確認できていないのは、サーバーパネルの実画面(未ログイン)、investorの設置場所、各サブドメインの管理画面、GA4の有無と広告収益の実額、自動バックアップの中身です。
この回の記録
- 作業日:2026年11月1日。時刻の記録はなく、ファイルの更新時刻から午前〜昼ごろ(日本時間)と推定しています(概算)
- 環境:本番は読み取りのみ。復元して見たのはこのPCの中(ローカル)。本番への変更は0件
- 進捗:連載の12マイルストーンは 0/12(M1「現状調査」が進行中)。WordPress最新版(7.1.4)に到達したサイトは 2/7(gadget、otoku)。PHPを最新にしたサイトは 0
- 原稿の執筆時点:2026年11月3日
第一章 AI時代・PHPの乱 第1話
戦果発表
第1話が終わった時点(この数字は固定です)
- 完了本体の現状を実測で確定(WP 5.7.2 / PHP 7.4.33 / MySQL 5.7.27)
- 完了検索流入の把握(16か月で204クリック、93%が上位3本)
- 完了計測の状態(旧UAのみ・GA4タグなし)を把握
- 未確認先行調査報告書(Cowork 2026-11-01)見つからず、実測でやり直し
- 未確認サーバーパネル・各サブドメイン管理画面の確認
全12工程中の達成
0%
0/12 工程を達成
上の「完了」は、この話で終わった調査・準備の記録です。12工程の達成には、まだ数えていません。最初の工程「現状調査(本番変更なし)」が進行中です。
12工程の内訳を見る
- 進行中 現状調査(本番変更なし)(本番は読み取りのみ)
- これから ローカルの復元・検証環境の構築(ローカル)
- これから WATABOKORIのローカル検証に合格(PHP 7.4〜8.5・SEO主要項目・AMP転送)(ローカル)
- これから 本体をWordPress 7.1.4へ更新(本番)
- これから 本体をWATABOKORIへ切替(本番)
- これから 本体のGA4・AdSenseの本番確認(本番)
- これから 旧サブドメインの方針決定と本人承認(WATABOKORI統一)(判断)
- これから 旧サブドメイン用の試作・予行演習に合格(ローカル)
- これから chucosの公開停止(アクセス制限)(本番)
- これから uber・investorをWordPress 7.1.4+WATABOKORI簡易版へ移行(本番)
- これから PHP 8.5.12へ本番切替(本番)
- これから 切替後1週間のエラーログ監視(本番)
達成率は「全12工程のうち、達成した工程の数」を12で割ったものです。作業時間や難しさによる重みづけはしていません。上の戦果の項目は各話の出来事の記録で、工程の数とは別に数えています。
現在のプロジェクト全体(随時更新)
83.3%(10/12 工程)
2026-11-03 13:17 JST(本番実施記録の判定時点。原稿作成時点で確認できた最新の記録)
次回予告
数字は出そろった。では、古い城に火をつけずに、本当に動かせるのか。次は本丸のそっくりさんをPCの中に建て、PHPを最新にしてみる。そこでAI軍師が出した「合格」の札は、はたして信じてよいものか。
――第二話『AI軍師の「合格」、ほんとに大丈夫!?』
連載「AI時代・PHPの乱」